地球日記

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【2006年6月】

■広島ネオポリス

 古いビルの中にある、このホールのたたずまいは結構好き。毎回良いライブがやれている。
 昔聴いてた音楽を久々にまとめて聴いた事で俺の中で起きた『昔モード』。このタイミングでのツアーにきっと良い意味で影響するに違いないと思ってた。実は昨日飛行機を降りた時から「歌を歌いたい」気持ちが闇雲にふくれあがった。ツアーでなければそのままカラオケ・ボックスに駆け込みたかったくらい。広島とも高校生の頃からの付き合いだからね。空気を吸ったとたん、化学反応が起きたんだろう。
 1年3ヶ月あいちゃったし、平日の夜だしで動員は減っちゃったけどおかまいなし。熱いリアクションだったし。とにかくこのツアーの俺はナチュラルにたかぶってる。
 ハネ立ちで山口の実家へ。

2006/06/01

 

■山口長門

 長門にコミニティFMが出来て、何の因果かぼんじがそこで働いている。去年秋には澄ちゃんに出演してみてもらったのだが、今回は藤原プロに「出てみりゃ良いじゃん」と。意外にも人生初ラジオだという。そのせいかとてつもない集中力を発揮。早起きして曲のセレクトとか喋る内容を整理したりとか。「その集中力をライブにも使えよ」と思いもしたが、初々しいのでまあ良し。『藤原プロの旅の途中で』というタイトルで1時間枠をでっちあげ、良い感じで終了。長門限定でプロ人気がブレイクしたらおもしろいのに。
 夜は温泉に入る。夕食後「そういえば今の季節は…」と思い出して、蛍を観に行く。びっくりするほどたくさん飛んでいた。一時減っていたけどまた増えたみたい。これほどの蛍を観た事がない人ってのが結構いて、色んな人にぜひ観せたいのだが、期間限定なのでなかなかタイミングが合わない。そういえば6月にツアーって初めてかもな。

2006/06/02

 

■山口ダダ

 ツアーというのは普通、都市から都市を渡り歩くもので、このようにのんびりした所からのんびりした道を通ってのんびりした所でライブをやるってのは滅多にない。ここでやるライブが特別な感じになるのはそういうせいもあるのかと、ふと思う。
 道中昨晩の蛍の話になり「曲が出来そうな景色だったよね」と藤原プロが言うので「じゃあ作ればいいじゃん」と。会場入りするまでにイメージを浮かべてリハ前に出来た。インストゥルメンタルのなかなかの佳曲。ぼんじ感激して、FMアクアで流す事になった。
 ライブは我ながら本当に凄かった。もう良い悪いじゃなくて、ただひたすらに「特別」なんだと思う。実際はお客さんの大半は他県からだったりするのだが、土地の空気が持つ力ってのは確かにある。それはひどく曖昧なものだからどうしても言葉では表せないんだけど。暇とお金があれば、ぜひ一度この「特別」を味わって欲しいな。それが6月だったら、ついでに蛍も。

2006/06/03

 

■博多ドリーム・ボ−ド

 実家を後に博多へ。ジュークレコードに立ち寄ってCDを買ってから会場入り。懐かしい顔にほっとしながらリハ。
 実を言うと昨日があまりにも出来過ぎだったので、内心不安だった。もちろんあれは「特別」なのだから簡単に比較はできないが、色んな意味であれより下がったライブで終わりたくないと。
 しかしまったくの杞憂だった。俺はまだまだ博多というものをあなどっていたよ。たまたま集まった君らがそうなのか、そもそも土地の風土がそうなのか、その両方なのか。なんだこのエネルギーは。それにのせられた結果だろう、自分自身にもまだ上があったのかと驚いた。いやー、アコースティック・ライブも底が知れないね。この先どこまで上がるんだろう。
 打ち上げではもうほぼ放心状態。今日はとことん出し切ったなあ。

2006/06/04

 

■帰路

 いつものように空港で、いか明太と梅ヶ枝餅を買って帰路。今回は「ツアーですか?」と聞かれると一瞬返答につまっていた。ツアーというより旅気分だから。欲を言えば飛び石でライブを切りたいんだよな。ライブ、温泉、ライブ、温泉、ライブと。最高得点を叩き出せると思うんだけどなあ。

2006/06/05

 

■異常か普通か

 秋田の児童殺害事件。各局とも録りためた映像が出るわ出るわ。早くからあの母親が犯人と目星をつけてた事、どういう理由からか知らないが容疑者が出たがりだった事、秋田県警の情報がダダ漏れだった事などが要因でたまたま数字のとれそうな映像がたくさんあるからだと思われる。
 しかしながら、いつもの「ワイド・ショー向き事件」の犯人と比べてみて、果たしてあの容疑者はどれほど特異なんだろうか。映像中心に見ると母親失格で人格異常で「我々とは違う」ように見えるが、いまやネグレクトは珍しい事ではない。例えば「パチンコに熱中して車中に残した子供を殺してしまう親」の延長上に、あの容疑者が「普通」にいるような気がするのだ。その「普通」こそが怖いのだし、掘り下げて欲しいところなんだが、映像優先の「異常」の前でかき消えていくような気がする。
 まあ、まだ供述もないわけで、俺自身もまた憶測で書いてるんだけどね。

2006/06/06

 

■誕生日

 昼間に打ち合わせが一本。後は淡々と過ぎていった。
 先のツアーがパーティーであり、プレゼントであったからね。ほんとに。

2005/06/07

 

■ワールド・カップ

 ワールド・カップが始まった。その興奮よりも4年が過ぎる早さへの驚きの方が大きい。もうやるのか。
 
 巨人が強かろうが弱かろうが盛り上がらない事がばれつつあったプロ野球。ワールド・カップでますます影が薄くなるねと誰もが思ってる中、子供じみてると言えるほどの意地を見せた今日の松坂。えらいなあ。このわかりやすさをみんな見習え。大した事なくてもテレビに映れるセの選手は特に。

2006/06/09

 

■テンプテーションズ

 DVD『ゲット・レディ!栄光のテンプテーションズ物語』を。98年、リーダーのオーティスの自伝をもとに制作されたテレビ映画。噂を聞いて以来、ずっと観たかったものがついに日本版の発売。
 『ファイブ・ハート・ビーツ』という映画があってね、黒人コーラス・グループを主役にした良く出来た物語だった。何度か見直した映画のひとつ。監督いわく、これはテンプテーションズとデルズをモデルにしてるという事だったので。
 アマチュア時代、対バンのメンバーにダイアナ・ロスがいたり、モータウンの受付嬢がマーサ・リーブスだったりにわくわくしてるうちに(物語にはまったくからまないんだけど)ひきこまれ、3時間の長尺を一度もだれずに観通した。
 きれいな事はふくらませ、きたない事はささやかに、なのはしょうがない。というか、人気におぼれて身を誤ったメンバーやアル中になって自殺したメンバーの話を必要以上に生々しくされても困るので、むしろありがたい。せめて感動ストーリーに仕立て上げてくれなきゃ、つらくて観れないよ。
 こうしてみるとデヴィッド・ラフィン、悪いなあ。オーティス視点で描かれてる事を差し引いても。
 テンプに限らずソウルはステージだけ見ると実にハッピーなのだが、舞台裏は壮絶。それも含めて音楽なのか。つらい仕事だなぁ。まあ、ロックも同じなんだけど。

2006/06/10

 

■WC初戦

 とある番組に出ていた「ロペスさん」のことを、しばらく考えてから「ああ、呂比須さんか」と気づく程度のサッカー知識だが、縁起もんだし、ここはひとつ堂々とにわかファンになるかと。
 ならなきゃ良かった。こんな思いをするならば。途中まで良い感じだっただけに、余計にね。まるで失恋したときみたいだ。「こんなに苦しいものなら、好きにならなきゃ良かった」って。
 にわかファンでもこんなんだから、彼地まで追いかけて行くほどのファンはいかほどのものか。定年退職の日に熟年離婚を言い渡された心境か。それはちょっと違うような気もするな。
 王ジャパンのような奇蹟は期待出来そうにないねぇ。どうする、俺?にわかファン続ける?
 それはともかく。ドイツと言えば職人、技術屋というイメージだったのに、カメラが悪い。日影に入ると何やってるかわからないよ。ちゃんとしろ。

2006/06/12

 

■ジム・トンプソン

『ポップ1280』ジム・トンプソン(扶桑社ミステリー)
 ペーパー・バックとは、スーパーや雑貨店で売られる安手の小説の事。日本と違って劇画というものが生まれなかった欧米では、その代替であるのだろう。パルプ・フィクションとも言い、同名の映画をタランティーノが作った。ほとんどがそれなりの質でしかない中で、ひとり別格なのがジム・トンプソン。40〜50年代に活躍した通称「安雑貨店のドストエフスキー」。
 ようやく文庫化なったこの作品も「すでに出来上がってたカヴァー・イラストに合わせて二週間で書き上げ、そのままどんちゃん騒ぎで飲み狂い原稿料を使い果たした」傑作。ちなみにそのイラストとは「肩のはだけた服を着た美女。背後には<ポッツヴィル ポップ1280>と書かれた立て札」だったらしい。ポッツヴィルは地名、ポップ 1280とは人口1280人という意味。
 と、作品内容以前があまりにもかっこよかったので、思わず解説を要約してみた。内容もかっこいいよ。「奇妙な味わい」のノワール小説。ほとんどの「奇妙な味わい」小説は、自己満足とナルシシズムが鼻について読めないんだけど、絶妙のバランスでエンターテイメント。うん、確かにこりゃ天才だ。
 ところで日銀福井の村上ファンドへの投資。素人考えながら、あれは究極のインサイダー取引じゃないか。辞任するしないの攻防になってるけど、むしろ「逮捕」じゃないの? 出来ないというのなら、法の未整備ってことになるわな。

2006/06/14

 

■リハ

 リハ。先のツアーがあまりにも良かったので、メニューをほとんどいじらない事にした。ただしリズムが入る。半分以上の曲に参加してもらう。これだけでずいぶん違う。そりゃそうだ。アコースティック・ライブは会場、客が変われば別もの。
ましてやミュージシャンが増えたらもう。
 良い予感がする。

2006/06/15

 

■本気か?

 うーむ。テポドン。本気か?
 あえて若干ピントのずれた事を言ってみるが、テポドンのうち何%が日本からのパチンコ・マネーで出来たんだろうか。さすがに拉致発覚以降は減ったが、一時は年間600億円以上が流れていたという。裏送金とか、修学旅行の高校生に一人50万円ずつ持ち込ませたりとか抜きのパチンコ・マネーだけで。
 射幸性の高いパチンコ、パチスロという博打にはまり、サラ金で借金を重ね自己破産するまで注ぎ込んだ金で作られたミサイルに怯える。大したブラック・ジョークだなぁ。

2006/06/17

 

■WC第二戦

 引き分けか。勝てそうにみえたけどなぁ。いわゆる決定力不足ってやつだよね。よく知らんけど。覚えた言葉を使ってみた。
 試合後の中田のインタビューが面白かった。「出てもダメ、引いてもダメ、どうすりゃいいのよ。みんなちゃんとあたしについてきなさいよ。キーッ!」みたいなニュアンスの。彼の隠しきれない女性っぽさが興味深い。
 ブラジルがジーコに気を使って負けてくれる事を期待する。

2006/06/18

 

■便利な言葉

「ようするにさぁ、決定力不足なんだよね」
 うむ。決定力不足とは便利な言葉だ。ちゃんとものを考えて意味のある事を言ったような気分になるね。実際は何も言ってないに等しいのだけど。
 強く断定的に言うのが肝心。「決定力不足みたいな」なんて、若者っぽく言っちゃだめだ。だって本当は何も言ってないんだもの。
 気に入ったぜ。日常生活でも使っていこう。「藤原プロさぁ、決定力不足なんだよね」とか。

2006/06/19

 

■負けたね

 しかし、サッカーうまいなぁ、ブラジル人。まるで足が手のようで、さらにその手で手品をしているかのごとし。それと比べると日本は決定力不足というより、ぜんぶ不足のように見える。素人目にも。
 人というものはコメントや表情など、負けた時の方が味わい深い。これから誰が悪い論争になるのだろうけど、それにはあんまりつき合いたくない。
 さて明日だ。ロック界随一の俺の決定力を見せようかね。

2006/06/23

 

■7th floor

 放心状態である。昨日は自分で意識している以上に無我夢中だったようだ。
 このメニューでやるのも最後だから、とにかくふりしぼろうと決めてのぞんだ。それはそうなんだけど、アコースティックでここまで忘我の境地になるっていうのは珍しい。もしかしたら「次のステップ」に入ろうとしているのかも知れない。
 というわけで良かったやら悪かったやら、よく覚えてない。まあ、悪かったって事はないと思うけど。

2006/06/25

 

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